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【日本版コラム】AIJ事件の再発を防ぐため本質的に必要なこと

こんにちは、今日の一言はこれ!

人生、9勝6敗でいいんだ。勝ち続けるわけにはいかないんですから、いかに上手に負けを拾うか。阿佐田哲也(作家)

遅過ぎたAIJへの強制調査

 3月23日、金融庁は、金融商品取引法に基づくAIJ投資顧問(以下AIJ)の投資運用業者の登録を取り消し、AIJの投資信託を販売していたアイティーエム証券も、6カ月間の業務停止処分にした。また、同日、証券取引等監視委員会はAIJの強制調査にやっと乗り出した。金融庁は、残った資産が不正に使われることがないよう、両社に対し、資産の保全を円滑に進める業務改善命令も出した。

 当局のこの事件への対応はゆっくりし過ぎていると言わざるを得ない。何せ証券取引等監視委員会の調査によって、AIJ運用の資産の大半が消失していることが発覚したのは1月の下旬である。金融庁は2月23日にAIJへ業務停止命令を出したといっても、強制調査まで2カ月もかかっている。2月下旬には投資顧問会社265社の一斉調査を悠長に行っているが、本来、一斉調査など後回しにして、年金資産の棄損を速やかに防ぐことが先決ではないだろうか。何せ、詐欺事件が疑われている事案である。AIJグループは残余財産を当局の手が届かない国に移す可能性が高い。それとも、金融庁は、AIJの取引先から財産を取り戻すことは不可能という判断を既にしているのかと勘繰りたくなる。

AIJ事件の原因と思われていること

AIJ事件が起きた根源的な問題は何だろうか。これまで、各所でコメント、解説されているポイントを整理すると、運用体制や運用の中味に関する問題と企業年金制度に関わる問題に大別できる。

1)運用体制、運用の中味に関する問題

——独立系投資顧問という「怪しい」運用会社を年金が使っていること

——年金運用に適しないハイリスク投資が行われていること

——金融庁による投資顧問業界への検査体制が不備であること

——運用成果の第三者による監査が徹底していないこと

2)企業年金制度に関する問題

——企業年金が公的年金運用の代行部分返上、解散を簡単に行えないこと

——機動的な意思決定ができない「総合型」年金が多く残っていること

——企業年金担当者のうち運用の素人が多いこと

——年金運用担当者が年金受給者の利益を守るために十分に機能していないこと

 AIJ事件の発生には、これら2種類の問題が複雑に絡んでおり、前者の運用問題の所管は金融庁、後者の制度問題の所管は厚生労働省である。2つの官庁が微妙に絡んでいることで、問題解決が不十分、または遅くなることが懸念される。

ヘッジファンドをやめれば本当に運用リスクは減るのか?

 運用問題の解決策として一般的に言われているのは、リスクが高い運用を行わない、運用会社への監視、検査を強めることの2点である。これらを実行すれば問題は解決すると思われがちだが、実はそうでもないのだ。

 まず、ヘッジファンドへの委託をやめれば、運用リスクは下がるだろうか。実はそうとは言い切れず、むしろ逆である。現在のような超低金利下で年金資産を国債だけで運用すれば、毎年大きな逆ザヤ(国債利回りより年金が従業員に約束している利回りが低い)が発生し、長期で年金資産は棄損する。

 そもそもヘッジファンドのような「代替資産」(株式や債券などの伝統的な運用と異なる手法)は、年金運用の構造的な欠陥を解決するために生まれた。年金運用は「ベンチマーク運用」が基本である。ベンチマークとは、例えば「債券5割、株式3割、外国資産2割」のように運用資産構成をあらかじめ決めて、その構成の市場リターンをモニターすることである。投資顧問会社はベンチマークを上回るリターンを出せば業界で評価される。ということは、株価が暴落すれば当然年金資産は目減りするが、「市場の下げよりはマシ」な運用をした投資顧問会社は評価され、成功報酬をもらうこともできるのだ。

 運用を任せる側には何ともやり切れない仕組みであり、これでは運用の逆ザヤ解消に役立たない。実は、この不満を解消しようと作られたのがヘッジファンドである。ヘッジファンドにも様々な運用スタイルがあるが、投資のロング(買い)とショート(売り)を複雑に組み合わせて、市場が上がっても下がってもある程度の利益を目指すものが多い。市場の上下の影響が少なく、ベンチマーク運用の欠点を補うのがヘッジファンド型運用である。これをリスクが高いと一律に排除するのは間違っている。

当局の投資顧問への監視を強めれば済むのか?

 報道によると、AIJの経営自体はでたらめだ。今後もこのような運用会社が出現するかもしれないが、被害を防ぐ最良の方法が当局の規制や監視を強めることと言われると首をかしげざるを得ない。

 運用業界における規制の意義は「投資家保護」である。保護が大事という名目でプロ投資家を素人投資家なみに保護すれば、過剰保護となり運用コストが上昇して、最終的に年金加入者の負担になってしまう。プロ投資家は素人投資家ほどの保護は不要というのは金融市場の基本原理である。プロのはずの年金運用担当者が旧社会保険庁からの天下りの素人ばかりということの方が大問題であり、過剰規制によって事態は解決しない。

 独立系投資顧問を「怪しい」という理由で排除することも問題である。投資顧問業界は規制緩和が進み、2007年に「認可制」から「登録制」に変わった。つまり、参入ハードルが下がり、実績を積めば「投資一任業者」として年金運用を受託できるようになったのである。規制緩和以前は、基本的に大手金融機関の子会社しか年金運用をできなかったが、緩和後は小所帯の独立系でも年金運用が可能になったのである。この規制緩和の背景には、大企業のサラリーマン的な運用者だけではなく、真剣なプロの運用者にも門戸を開放した方が年金受給者の利益になるという考え方がある。この原点を忘れてはならない。また、大企業に運用を任せれば安心かというと、オリンパス事件、大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件(1995年)、住友商事巨額損失事件(1996年)など、そうでもないことが分かる。

総合型企業年金の構造的な問題

 AIJ事件の背景には企業年金の構造的な問題が横たわっているが、その点はあまり問題にされず、もっぱら、投資顧問の資質や金融庁の規制の問題として議論されていることには注意を要する。

 企業年金、特にAIJ事件の「被害」を受けた「総合型」という同一の業種や地域の中小企業が集まる企業年金は構造的な矛盾に満ちている。年金を解散しようと思えば、母体企業が運用損失を埋めなければならないので解散もできない。損失の原因は市場実勢をはるかに上回る5.5%の利回りを年金加入者に約束して(逆ザヤが発生)、約束した利回りを変更できないからである。穴埋めに耐えられない企業が倒産すると、残った損失は総合型年金の他加入企業の負担となる。これでは、悲惨な「ドミノ倒産」が起きるのも当然である。

 企業年金の運用は公的年金の「代行運用分」が含まれるので、逆ザヤだからといって容易に解散は認められない。ただ、公的年金を守るという目的でこのルールを厳格に適用し続けると、母体企業が倒産して雇用が失われる。結果として、公的年金の保険料支払いが減るという本末転倒な悪循環が起きる。この構造を放置したままでは、投資顧問への規制を強めても、第二、第三のAIJ事件が起きるだろう。

 過去に企業年金を導入する企業が増えたのは、現在より金利が高く株価が好調な時で、約束した年金利回りを大幅に上回るリターンが続いたためである。今と正反対である。本来、予定利回りは市場実勢に応じて柔軟に変更できるようにして、運用利益が出た場合は、保養所などへ余計な投資をせずに、総て加入者である従業員に現金として還元するべきである。公的年金も余ったお金でサンピアなど作らず、国民に現金として還元するべきだった。

年金運用の受託者責任と柔軟な制度変更が不可欠

 では、これからどのような対策を講じるべきか。まず、年金運用者の受託者責任(忠実義務、善管注意義務、分散投資業務、法令順守義務)を法律や規制によって明確に規定するべきである。米国には「エリサ法」と呼ばれる法律があり、年金運用担当者は企業の取締役並に厳しい責任が課せられている。日本もそうなれば、「われわれは素人だからAIJにだまされました」などという恥ずかしいセリフを運用担当者は言えなくなる。そのセリフ自体が法律違反だからだ。運用のプロを雇う余裕のない企業年金はどうするべきか。そういう企業は企業年金自体をやめるべきである。従業員も素人に大事な年金を任せる不安から解放される。

 また、同時に、企業年金の解散や支給の減額をある程度柔軟に行える制度変更が不可欠である。この場合、制度変更が企業経営者によって恣意的に行わないよう、第三者の厳格な監査をセットにすることが重要である。ここでは厚生労働省の認可を前提としないことがポイントである。

 ところで、AIJのファンドは第三者の監査が行われておらず、AIJの利害関係者がお手盛りの監査を行っていたようだ。プロの年金運用者であれば、こんな投資顧問など警戒して近寄らない。また、AIJの不自然に高い運用利回りを疑い、運用委託を行わなかった年金が多かったことを忘れてはならない。

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尾崎弘之 東京工科大学大学院ビジネススクール教授

 2010年6月からWSJ日本版に連載開始。著書「環境ビジネス5つの誤解」(日本経済新聞出版社)が1月13日に出版。クリーンエネルギー、電気自動車、水などの5分野に関して誤解を指摘し、問題の解決方法を分析する。

 東京大学法学部卒、ニューヨーク大学MBA、早稲田大学博士。野村證券NY現地法人、モルガン・スタンレー証券バイス・プレジデント、ゴールドマン・ サックス投信執行役員を歴任後、ベンチャービジネスに転身。2005年から現職。専門分野は環境ビジネス、金融市場論、ベンチャー企業経営論など。主な著書は「出世力」(集英社インターナショナル)、「次世代環境ビジネス」「投資銀行は本当に死んだのか」(いずれも日本経済新聞出版)。 http://hiroyukiozaki.jp/


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120328-00000007-wsj-bus_all
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